米兵の外出問題について



私たちがなぜ米兵の外出について強く懸念し、外出の中止を求めているかについて、少し長くなりますが、重要なことなので書いておきます。


まず、説明の前に、日出生台の米軍の外出問題を考える上で、まず知っておいていただきたい事実を以下に記述します。

  • 米軍の訓練はその後に戦争に行くことが前提の実戦訓練。
  • 成否は兵士の命に直結。
  • 訓練のストレスは私たちの想像を絶する。
  • 訓練直後に、外出、飲酒を許されれば、本人らが普段「いい人」であるかどうかに関係なく、タガが緩みストレスが噴き出す。
  • 沖縄でも大変の事件、事故は飲酒を伴って起きてきた。
  • アメリカでは飲酒が許されるのは21歳からだが日出生台の米兵らの平均年齢は19,20歳
  • 米では公共の場所(路上や公園)での飲酒不可だが日本ではどこで酒を飲んでもとがめられない
  • 日米地位協定によって、日本では警察が通常の捜査、逮捕ができない
  • 裁判権も日本側にない。(これは公務中か公務外かによって違いがあるが、その判断は、米軍の都合のいいように使い分けられている現実がある)
  • 米軍は日本の憲法や法律でさえも適用されない超法規的存在

 

【解説】
私たちは、日出生台に来る米兵、あるいは沖縄の米兵を、ある種の「危険人物」のように決めつけて彼らの外出中止を求めているわけではありません。

実際、私たちはこれまで、外出した米兵に対して直接話しかけたり、メッセージの入ったお守り袋を渡したりといった「接触」「交流」を重ねてきており、彼らが気持ちのいい好青年たちであることをその度に実感しています。

 ここで問題なのは、彼らがいい人たちか、そうでないかということではなくて、彼らが米軍という世界で最も実際の戦争をおこなってきた軍隊の一員であるときに、その訓練はまさに生きるか死ぬかの実際の戦場を想定した厳しい訓練とならざるをえないということです。

 そこでしっかりした訓練ができるかどうかは、そのまま彼ら自身の生死に直結する問題となります。その実戦さながらの訓練に伴うストレスは私たち民間人の想像を絶するものと思われます。

これは元アメリカ海兵隊員の方に直接聞いた話なのですが、その戦場さながらの訓練直後に、自由に外出が許可され、飲酒も許可されれば、当然、緊張のたがが緩んで、溜まっていたストレスが、本人が普段いい人であるかどうかに関係なく吹き出してしまうことがあると。

また、日本では法律上、20歳から飲酒が許されていますが、アメリカでは法的には21歳にならないと飲酒が許されていません。日出生台で演習する米兵らの平均年齢は19歳から20歳くらいの若い兵士たちが多く、アメリカでは彼らは飲酒は法的には許されておらず、お酒に慣れてない兵士も多いと思われます。さらに、アメリカでは公園など公共の場で飲酒することは禁じられており、警察が見つければ逮捕されるほどお酒に厳しいですが、日本ではそれはありません。

これまで米軍の集団外出では、米兵らが、お酒とわからないように、お酒をペットボトルのジュースに移し替えて持ち歩いて、夜になるとお酒が回ってしまい、泥酔状態で、公園のトイレで動けなくなって運び出されたり、バーの入り口の階段の前で大の字になって倒れていたり、酔った米兵どうしの喧嘩が路上で起きたりといった、目にあまる状況が繰り返されてきました。

また、別府市のカラオケバーでは酔った米兵による無銭飲食の事件も起きました。この時は福岡防衛施設局(当時)が立替払いをして結果として「もみ消し」たので、警察も処分をせず、事件としてカウントはされませんでした。

この状況を見て、私たちは沖縄で酔った米兵絡みの事件がなぜこれまで続いてきたのかの理由の一端を実感を持って感じました。また、日出生台においても、実戦さながらの厳しい訓練の後に、飲酒もOKの自由な外出を認めれば、やがて沖縄でおきたような悲しい事件もおきかねないなと実感しました。

そのような事件が起きた場合、米兵の場合は、日本人と違って、「日米地位協定」によって特権的に保護されており、日本の警察の捜査や、裁判ができなかったり、その間に基地内に逃げ込んでアメリカ本国へ逃げ帰ってしまい、被害者は泣き寝入りになるという事態も沖縄では繰り替えされてきました。

このような現実があることを考えた時に、私たちはやはり、日出生台に来た米兵の外出について、これまで滞在中の外出は控えてほしい。それでも外出が行われる際には、最低限、協定に規定された「防衛局職員の同行」をしっかりとやってほしいということを九防に求めてきました。  

これまで米軍指揮官は日出生台の訓練について「展開から撤収まですべてが公務であり訓練」と説明してきました。日出生台に滞在する1ヶ月の間に、「公務外」「オフ」「プライベートな休暇」といった時間はなく、そうした状況そのものが訓練となっています。であれば、演習終了後も演習場内から出ないで過ごしてほしいと私たちは求めてきたわけです。

最終更新日: 2025年11月22日