これまでの米軍演習から見えてきた問題点

「米軍演習の歯止め」とされていたはずの協定は、
米軍が望めば、いくらでも書き換え可能であることが明らかになりました。

公開訓練の写真
 

「155ミリりゅう弾砲の演習」
        だけだったはずが…

当初、米軍が行うのは「155ミリりゅう弾砲の演習」であると
国は説明し、「米軍使用協定」にもそう記されていました。
しかし、2006年、米軍はその他の武器も使用したいと言い始め、
翌年、協定はあっさり書き換えられ、
米軍は、小銃、機関銃など様々な武器を使用できるようになりました。

砲撃数は年々拡大、激化、砲弾の種類も多様化。
白リン弾や照明弾も…


日出生台での米軍の砲撃数は、年々増え続け、
2015年の訓練では、日出生台では最多の総砲撃数1070発。
前回の2018年の訓練では2番目に多い792発の実弾砲撃演習が行われた。


2010年からは、使用可能な武器として「小火器」と呼ばれる小銃、機関銃などの
武器が追加さた。
また、同じ年から
国際的にその使用が「あまりに残虐」と批判されてきた白リン弾、
これまで日出生台の米軍演習では使われなかった照明弾までが
使用されるようになった。
2010年は、これにともなって、3件の林野火災(野火)が発生。

白リン弾
2010年の米軍訓練の際、日出生台で初めて撃たれた白リン弾。

白リン弾7連射
白リン弾7連射。この後、火災発生。


日出生台の夜空を2分間かけてゆらゆらと落ちていく照明弾。
これも米軍訓練では2010年、初めて日出生台で使われた。




深夜、完全武装した米軍車列が演習場外の住民の生活道へ

2012年の前回の訓練では、あろうことか、
深夜、155ミリりゅう弾砲を牽引した完全武装の米軍車列が、
演習場の外の、住民の生活道である県道に出てくるという、
前代未聞の事件が起きました。
米軍は「道を間違えた」と弁解しましたが、
現場は道を間違えるような場所ではありませんでした。
過去8回一度も起きなかったことが起きたのは、
あわよくば訓練の使用範囲を拡大したいと米軍が
意図したからではないでしょうか。

演習終了後の米兵の集団外出。

飲酒でハメ外すトラブル多発

日出生台での実弾演習終了後には、
毎回、米兵ら約200人の集団外出が行われています。
これまでの外出では、
お酒を飲んだ米兵どうしのグループのケンガが別府市の町中で起きたり、
酔った米兵が町を歩く若い女性に誘いの声をかけたり、
公園のトイレで泥酔状態で動けなくなり抱え出されたり、
泥酔してバーの入り口をふさいで倒れ動けなくなり、
周囲を不安にさせるというような状況が見られました。


米軍という存在は、「日米地位協定」によって
特権的に保護されています。
公務中の米兵が事件、事故を起こしても、
通常、行われるような日本の警察の捜査、逮捕、
取り調べ、裁判ができません。
米軍基地に逃げ込んだ容疑者がアメリカに逃げ帰り、
被害車は、泣き寝入りになるというようなことも起きています。

このような不平等な「地位協定」の存在が、
沖縄での度重なる米兵の犯罪、不祥事に繋がっていることは
これまでも指摘されてきたことです。
今、それは日出生台を抱える私たちにとっても同様に直面する問題です。

訓練情報は年々出なくなり…


この数年、当初は出されていた米軍部隊の移動についての
情報が出なくなりつつあります。
情報が出なくなるということが進んでいくと、
米軍がいつ、どんな訓練を行っているのか、
訓練が協定や事前の説明通りに本当に実施されているのかどうか、
わからなくなります。米軍としてはそうして、
自分たちがやりたい訓練を自由にやれる場にしたいのでしょうが、
私たちにとっては、米軍訓練が、気づかないうちに、
私たちの日常生活の安心や安全を直接脅かすようになっていく
不安ぬぐいきれません。 

 

私たちの故郷の自然と
 安心の暮らしを守るために


米軍は世界最大、最強の軍隊です。

しかし、その米軍をもってしても、
今、問題となっているテロをなくしていくことができません。
米軍の軍事力にものを言わせた激しい爆撃こそが、
憎しみと復讐の連鎖を招いているとの指摘もされています。

私たちは、故郷大分の地を
そのようなアメリカ軍の戦争訓練の場として使ってほしくありません。
さらに、今、アメリカは、日本の自衛隊を、
アメリカの戦争に協力させようと大きな圧力をかけてきています。

戦後70年間、一度も戦場で人を殺すことも殺されることも
なかった自衛隊のあり方、日本のあり方が、
今、アメリカによって大きく変えられようとしています。

私たちは、故郷大分・日出生台の自然を守り、
この国の大切にしてきた平和のあり方を守りたいとの思いから、
この日出生台で行われているアメリカ軍の戦争訓練に反対をしています。

私たちの運動は、そのような思いを同じくする人なら
誰でも参加できる市民運動です。

もちろん非暴力を大前提とし、
それぞれのできることで協力しあって、
これまで運動を継続してきています。

最終更新日: 2025年11月22日