「実弾射撃は20時まで」と定めた確認書問題

日出生台では「米軍使用協定」とともに「冬季の射撃は20時まで」とした「確認書」が結ばれている。
直近で冬季の訓練がおこなれた前々回(2020年)の訓練では、米軍はこの確認書をまったく無視し、
九防の制止さえも振り切って、20時以降の砲撃を5日間にわたって強行した。
九防は連日、大分県庁まで出向いて謝罪。最後は普段は福岡にいる局長まで県庁に訪れ謝罪するという、前代未聞の事態となった。


その次の回となった、前回(2022年)は、この確認書の問題を回避したかったのか、日出生台では初めて春に実施され、 「20時制限」は適用されなかった。
今回の訓練は確認書を無視し、大問題となった5年前の米軍訓練以降、初めての冬の訓練となり、
今回は米軍がこの確認書を守るのかどうかに注目が集まった。

米軍訓練が始まる5日前の2月22日、米軍によるブリーフィング(事前説明会)が日出生台演習場内で実施された。
参加した報道関係者や住民からの質問は当然、この確認書の問題に集中した。
 米軍からの回答は「我々が重要視するのは日米合意のみ」の一点張りだった。その意味は「日米合意で定められている午後9時までという制限は守るが、
確認書の午後8時までに縛られるつもりはない」という意味であることは明らかだった。
今回も5年前の悪夢が再現されることを参加した誰もが予想し、諦めにも似た感情を抱えたまま、ブリーフィングは終了した。


そんな不穏な空気の中で始まった計9日間の実弾砲撃訓練の実際はどうだったのか。


結果は、多くの周囲の予想に反して、9日間の期間中、20時以降、1発のりゅう弾砲も撃たれなかった。
米軍側からその理由を説明される場がなかったため、そうなった本当の理由はわからない。
米軍が地元の要望を尊重して今回は「午後8時枠」を守ったのかも、という見方もできなくはない。
ただ、今回、9日間実施された訓練のうち、最後の2日間を小火器の実射しか行わず、
やろうと思えばできたはずのりゅう弾砲の砲撃がゼロだったことを考えると、
今回はなんらかの米軍側の事情、理由でそうなった可能性の方が高いのではないかと考えている。


いずれにしても、今回、早い時間に訓練が終了するというのは周辺住民にとっていいことだ。
(もちろん、演習を実施すること自体が問題ではあるのだが)
前回、3年前の米軍訓練が、10日間の実弾砲撃訓練のうち9日間を、21時寸前、20時50数分台まで激しく砲撃がおこなわれたことを考えると、
今回、20時を過ぎなかったどころか、まだ明るいうちに訓練が終了したことで、
周辺に暮らす住民は、静かで穏やかな夜のありがたさを再確認することとなった。


ゆっくりお風呂に入り、家族や仲間とだんらんのひとときを過ごすことができた。
夜間訓練がないことが、いかにありがたいことかを痛感した。それは裏返せば、こういった夜間の実弾砲撃訓練がいかに住民の暮らしに対
する負担、ストレスとなっていたのかということでもある。
やはり、どこかの地域の犠牲の上に成り立つ平和なんて本当の平和とは言えないし、その先に私たちが求めるべき平和はないだろうと

最終更新日: 2025年11月22日