新火器追加はどのように位置付けられているか

このページでは、新しい火器の追加について、県がどのような考え方で判断すると説明しているのかを整理します。

いま確認したい点は、「県の“縮小・廃止”という方針と、新火器追加がどう結びついて判断されているのか」です。

そのために、防衛局資料、県の説明、メール回答などの公開資料をもとに整理します。

 



日出生台演習場で、米軍による新しい種類の火器の追加が検討されています。
その受け入れについて、大分県がどのような基準で判断するのかが、現在の主な論点です。このページでは、県の判断がどんな前提・論理で組み立てられているのかを、公開資料をもとに整理します。


1.このページについて

このページは、
日出生台演習場における米軍の新たな火器追加をめぐって、現在何が問題となっているのか、また、なぜ大分県との間で判断前提の確認を行っているのかを、
初めてこの問題に触れる方にも分かるよう整理したものです。

取材・検討のために事実関係を確認したい報道関係者、
県の判断に関わる立場にある県議会議員・関係者の方々にも、
全体像を把握していただくことを目的としています。


2.まず押さえてほしい要点(要約)

  • 何が起きているか:新しい種類の火器追加(対装甲車両火器)が検討されている

  • 県は何を基準に判断すると言っているか:「将来にわたる縮小・廃止につながるかどうか」

  • いま確認したい点:その判断に使う評価指標(何をもって縮小とみなすか)が明確でない




3.今回検討されている「新しい火器」とは

昨年末、九州防衛局から大分県に対し、
米軍が 新たに使用を検討している火器の追加についての説明(PDF)が行われました。

これらは、いわゆる「対装甲車両火器」とされ、
弾体には 高密度金属(タングステン等) が用いられる可能性があると説明されています。

過去には、海外において、
この種の金属材が 地下水汚染につながった事例も報告されており、
環境や健康への影響については、慎重な確認が必要です。

現時点で、
使用される弾種・弾体材料、訓練の具体的な実態については、
十分な情報開示がなされていない状況です。

 

4.大分県が示している判断の考え方

県はこれまで、日出生台での米軍演習について、
基本的な立場を 「将来にわたる縮小・廃止」 と説明してきました。

今回の新しい火器の追加についても、
それがこの基本方針に反していないかどうかを基準に判断するとしています。

整理すると、県の考え方は次のようになります。


① 方針
将来に向けて演習は縮小・廃止していく

② 今回の判断
今回の変更が、その方針に反していないかを見る


ここで確認したいのは、次の点です。

では、何をもって「縮小」と判断するのか。

演習の日数でしょうか。
使用する火器の種類でしょうか。
騒音や環境への影響でしょうか。

その具体的な基準は、現時点では示されていません。

参考までに、2006年に小火器の受け入れが判断された際には、
「射撃日数を2日減らす」ことが
住民負担の軽減、すなわち「縮小措置」と説明されました。

今回も同じ考え方が使われるのか、
それとも別の基準で判断されるのか。

これは賛成・反対の前に、判断の前提を確認する問題です。


5.2006年・2007年の小火器受け入れ時、県はどう判断したのか

1996年の小火器受入時の新聞記事「2日削減で受け入れ」

過去、小火器実弾射撃訓練が追加された際、
県は次のような説明をもとに、
「訓練の拡大には当たらない」と判断しました。

  • 榴弾砲と同時には撃たない

  • 人員・車両数は増えない

  • 射撃日数を2日短縮する(協定枠10日→8日)

県が最終的な受け入れ判断に踏み切る際の決め手は、
この **「2日短縮」**でした。

県はこれをもって、
「訓練の縮小につながる措置が取られた」
「住民負担の軽減になる」
と説明しました。


6.「射撃日数を減らせば、住民負担は軽減される」のか

防衛局が公表している
「日出生台演習場周辺の砲撃音等騒音発生状況」
(2018年度以降のデータ)を整理すると、次の事実が確認できます。

日出生台演習場周辺の砲撃音騒音回数の年度別比較図

事実の確認

  • 2018年度:米軍演習は実施なし(0日)

  • 2022年度:米軍演習10日間実施

しかし、年間騒音発生回数は
2018年度の方が多い。

→ 少なくとも「演習日数の削減=騒音減少」とは単純に言えない。


7.なぜ今、この点の確認が重要なのか

2026年1月20日の県とのやり取りの中で、県側は、

「小火器を受け入れた際と同様の説明が防衛局からあれば、
それを前提に判断する可能性がある」

という趣旨の発言を行いました。

これは、
過去の小火器受け入れ時に用いられた判断論理を、
今回の新火器問題にも適用しうると考えている

ことを事実上示しています。

もし、この論理が実態と乖離したまま用いられれば、

  • 日数をわずかに調整する

  • 一見「負担軽減」に見える条件を付ける

といった説明があれば、
今後も同様の受け入れが繰り返される可能性があります。


8.現在、県に対して確認しようとしていること

私たちは、特定の結論を求めているわけではありません。

現在、県に対して確認しようとしているのは、

  • 過去に用いた判断論理が、
    防衛局自身の公表データを踏まえてもなお妥当だと考えるのか

  • もし妥当だとするなら、その根拠は何か

  • 妥当ではないとするなら、
    今回の新火器判断に同じ論理を用いないと理解してよいのか

といった、判断の前提とその合理性です。

この確認は、
県の判断を拘束するものではなく、
判断がどのような論理に基づいて行われるのかを、
文書で明らかにすること
を目的としています。


9.参考資料

(2月10日のローカルネット説明会配布資料)

  説明内容の根拠として、以下の資料を公開しています。

  • 説明会当日配布レジメ
    「小火器受け入れ時の県の判断論理の妥当性を問う質問書」(PDF

  • 説明会で使用したスライド資料(PDF

※これらは本文内容を補足する参考資料です。



【補足:環境・健康面の確認事項】

 

対装甲車両火器に使われる可能性の高いタングステンの危険性

 

2006年米国マサチューセッツ州キャンプ・エドワーズで地下水汚染

10.2月25日、県よりメールにて回答を受けました。

日出生台演習場における対走行車両火器追加問題について、昨日、2月25日、17時過ぎに県よりメールにて以下の通り、回答を受けました。


2026 年 2 月 12 日付けでいただいた『「 対装甲車両火器」使用要請に関

する判断前提の確認について(照会)』に対して回答します。

現在、四者協から九州防衛局に対し、今回の見直しが基本スタンスで

ある「将来にわたる縮小・廃止」に反するものにならないかを判断する

ためのより具体的な内容の提示を求めているところであるため、その段

階で当方から判断基準を示すことは、差し控えさせていただきます。

電話でも伺いました皆様からのご意見は、しっかりと受け止めさせて

いただきます。


大分県生活環境部

防災局危機管理室


県は、判断基準を現時点では示さないと回答しました。

 

県は引き続き「将来にわたる縮小・廃止につながるかどうか」を判断軸としていますが、その判断に用いる評価指標(何を見て判断するのか)は、今回の回答では示されませんでした。

この点は賛否以前に、判断の前提を共有するための重要な確認事項です。今後、県議会などの場でも、評価指標の有無や県としての検証内容が整理されることが望まれます。

最終更新日: 2026年03月04日